新型コロナウイルスの猛威が瞬く間に世界に広がり、私たちの日常はついこの間までとはまったく別のものになってしまいました。目に見えないウイルスの脅威と、刻一刻と変化する状況に、不安やストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。一日もはやく事態が収束に向かうことと、皆様のご無事を心よりお祈りしています。



「最後のひとりが仮設住宅を出るまで」を目標に団体を設立してから、丸4年。
今年1月に石巻市内の仮設住宅がすべて解消になり、当初の目標は無事達成することができました。決して楽な道のりではなく、途中何度も挫けそうになりました。しかし、その度に、私たちの活動を継続的に応援してくださっている賛助会員の皆様、クラウド・ファンディングや寄付で支えてくださった支援者の皆様、苦楽を共にしてきた県内外のボランティアたち、そしてきずな新聞を「心の拠り所」として愛してくださる住民の方々の顔を思い出し、多くの方々の知恵を借りて、困難も乗り越えることができました。
ここまで支えてくださった多くの方々に、改めて心より感謝申し上げます。



一方、仮設住宅が解消された今、復興公営住宅にも課題が山積しています。「平成30年度復興公営住宅健康調査(石巻市)」「平成30年度災害公営住宅入居者健康調査(宮城県)」によると、石巻市の復興住宅では「独居世帯」率は47.9%(市全体:11.0 %)、「65歳以上」率は42.8%(同32.4%)と、独居世帯の割合と高齢化率がかなり高いことが分かります。また、約2割が「体調が悪い」「眠れない」「相談相手がいない」、約6割が「行事への参加なし」と回答しており、復興住宅内で孤立したり、心身の健康を害したりしている方が少なくないことが伺えます。



実際、私たちが新聞配りをしていても、「鉄の扉に遮られて、世界でたった一人きりになったように感じる」「こんなに寂しい思いをするくらいなら、仮設にいたときの方がまだ良かった」「復興住宅に移ってきてから、集会所が開いているのを一度も見ていない」「エレベーターホールでしか顔を合わせないので、一年経っても名前も知らない人ばかり」といった声をよく耳にします。一年半前には、復興住宅に転居した住民の方が仮設住宅の集会所で自殺する事件が起こりました。この事件は復興住宅で暮らす方々にとって決して他人事ではなく、「自分ももしかしたら…」という思いを抱えている方は少なくないと感じます。



このような課題の中には、私たちがきずな新聞の発行・配布を通じて解決できる課題もあると考えています。しかし、現在活動資金の大半をまかなっている助成金・補助金は、今後減少していくことが明らかであり、現在の体制や規模を維持し続けるのは困難です。そこで今後は、寄付金・支援金を中心に活動を継続できるような活動縮小を行ない、活動を継続していくこととしました。具体期には、新聞の発行頻度を月刊→季刊(3の倍数月に発行)に変更し、有償スタッフ、有償ボランティアを原則全員無償とすることで、支出を大幅に下げることができ、助成金に頼らずに活動を続けていくことができます。必要とされる限り、細くとも長く、活動を継続して参りたいと考えております。



この投稿を読んでくださっている皆様に、お願いがあります。
この活動を一日も長く続けていくために、どうかご寄付や賛助会員という形で、私たちの活動を支えていただけないでしょうか。

賛助会員(年会費3千円~)

ご寄付(任意の金額でできます)



実は、私たちの活動を応援してくださっている方々の中には、チャリティイベントを開催したり、手作り品を販売したりすることでファンドレイズ(寄付集め)してくださっている方々がいました。しかし、新型コロナウイルスの影響で、そうしたイベントは軒並み中止や延期…。「助成金に頼らない運営」に舵を切った私たちにとって、大きな向かい風が吹いているように感じているのが正直なところです。
規模は縮小しますが、活動そのものはしっかりと行なっていきたいと考えています。東北の被災地に思いを寄せる方々、孤立死・孤独死をなくしたいと願う方々、石巻を愛する方々から、少しずつお心を寄せていただきながら活動を継続することができたら、これ以上の喜びはありません。



新型コロナウィルスの対応で大変な状況の方も多いことと拝察いたします。そんな中で寄付のお願いをすることに、正直心苦しさも感じています。しかし、こんな状況だからこそ、私たちのような非営利の活動、地域コミュニティを支援する活動は、より必要性・重要性を増しているのではないか。そうも考えます。
以前、賛助会員として活動を支えてくださっている方からお手紙をいただいたことがありました。そのお手紙には「支援する歓びをありがとう」と書かれていました。「世の中を良くしていくために、私にも何かできることがある」。そう実感できることは、確かに歓びだと思います。私たちの活動を支えてくださる方々には、その歓びを感じていただけるよう、私たちはこれからもしっかり活動していきます。

今後とも、石巻復興きずな新聞をどうぞよろしくお願い申し上げます。

石巻復興きずな新聞舎
代表 岩元 暁子

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活動規模縮小に伴い、下記の通り、ご理解・ご協力をお願いいたします。

◎連絡先(090-6686-8317/kasetsukizuna@gmail.com)は変更ありませんが、できるだけメールでご連絡いただけますようお願いいたします。

◎活動は基本的に登録しているボランティアで行ないます。新規の募集は行ないません。「ボランティアとして登録したい!」という方は別途ご相談ください(年間の活動日数の規定などがあります)。

◎県外の方で、石巻復興きずな新聞の活動に参加される方は、石巻復興きずな新聞舎の事務所(石巻駅から徒歩7分)に宿泊することができます(きずな新聞の活動参加以外の方は、宿泊することはできません)。

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