これまできずな新聞の活動に参加したボランティアの声をご紹介したいと思います。
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もっとも印象的だったのは、「私たちとお話しをできたことが本当に嬉しかった」と言ってくださった方と出会えたことです。私がまわった仮設住宅は、団地の半分以上が空き家のところが多かったので、仮設住宅に残っている方のほうがとても少なかったです。そのため仮設住宅に残っている方、その中でも特に一人暮らしの高齢の方は、とても寂しそうにしていました。だから私たちのようなボランティアが月に一度お話を聞くことが励みになっているのかな、と感じました。私も少しは力になれたのかな、と思うととても嬉しかったです。
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最も印象的だったことは2つあります。1つ目はお茶っこに上がらせてくれたおばあちゃん。とても明るくて他愛もない会話をしていました。けれど、帰るってなった時に、今まですごく元気に、普通に話していたおばあちゃんが言葉をつまらせて泣いたときです。1時間弱で、普通に仲良くおしゃべりをしていただけなのに、別れをとても悲しんでくれて、たぶんとてもさみしかったんだなと実感しました。空き家になっていく仮設と、震災での経験など、いろいろなものが、組み合わさって私たちがただ感じるさみしさとは、違うのだろうなと思いました。
2つ目は日和山公園から見た景色です。まちなかは建物もあって一見復興は進んでいますが、沿岸部は何もなくなってしまった、流されてしまったことが見てわかります。実際に行ってみて、初めて分かること、感じることがあるのだと思いました。
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様々な事情、様々な生活の仕方をしている方がいらっしゃりましたが、やはりどの方もどことなく寂しそうではありました。楽しく世間話をしてくださる優しい方がほとんどでしたが、楽しい会話の中にも垣間見れる辛さがありました。ですが、私たちと話しているうちに笑顔になっていってくれたり、別れる時に「ありがとう」と言ってもらえると、本当に温かい気持ちになれます。住民さんとの会話は色んな気持ちにさせられます。新聞をずっととっておいてくれたり、来たボランティアの写真を撮って、来た日にちをを覚えてくださる方もいました。住民さんにとって私たちが、「家族でも友達でもないけれど何でも話せる人」になりたい、話せる場を与えてあげよう、と思うのと同時に、住民さんが私たちにもたらしてくれるものも大きなものであると感じました。
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私が一番印象に残ったのは万石浦団地の住民さんとのお話です。その方は、私が「東京から来た」ということを伝えたら、震災時の事について色々教えて下さりました。自分は津波が来たときどこにいて、何をしていたのか、次の日から、周りの人と一緒に捜索活動を始めてどんな光景を見たのか等、テレビでは教えてくれないようなところまで事細かく話してくださいました。現地に行かないと分からないことはやはり沢山あると思いました。けれど、自分は経験したことのない凄いことを言われると何て答えればいいのか分からなくなります。あまり深く考えすぎず、傾聴することが大事なのかなと思いました。
この活動は、ボランティアの満足や成長を目的に行っているわけではありませんが、結果として、参加してくださったボランティアが様々なことを見て、聴いて、感じて、多くのものを持ち帰ってくれるのは、嬉しい限りです。
この活動がなければ石巻に来ることがなかったかも知れない若い人たちに、石巻の仮設住宅に暮らす皆さんと接してもらい、直接生の声を聴いてもらい、感受性をフル活用して、石巻の「今まで」と「いま」と「これから」について感じ、考えてもらいました。これは一番の「震災の風化防止」になると私は思っています。